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MG完了

 投稿者:尼子  投稿日:2007年 6月15日(金)13時25分20秒
  『なぜ―?』と続けようとした俺を遮ったのは、サイファー。

「おめぇが無自覚の天然で、最悪なくらいに鈍感だからだろーが?」
「・・・・アンタな・・・・」
「貴方が限界だ――って連絡があったのです。」
「俺・・が?・・・連絡・・?」

アンタがイデアに――?
声のない問いかけに、けれどサイファーは首を振って否定する。

「風神ですよ。彼女から貴方の様子を知らさられたのです。」
「俺も悪ぃンだ・・・躍起になっておまえに告白させようとしたせいで、肝心のおまえの心の方が壊れかけてるって気付けなかった。」

(心が・・壊れる・・・?)
苦しかったのは事実だけど、そんな病気みたいな表現は・・・・。

「まったく・・自覚がないのね・・・。」
「・・?・・・??」
「そーんなヤツレまくってよ。そんな状態のどこが何ともないってぇーんだ!?」
「俺は・・・別に・・・ぅわっ!!」

いきなり両脇を鷲掴みにしてきたサイファー。逃れようと身を捩ったが力も体格差も歴然だった俺たち。当然ながら抜け出られるわけもなくて。
更にその上――

「こんっなに細くなっちまって・・・初めてンときと、抱き心地が全っ然違うぞ!」
「・・・ぎゃっ・・バカ!!」

脇から胸・背中・腰と、滑るような手付きで身体を撫で回してくるコイツ。本気の抵抗で腕を突っぱねたんだが・・・。

「サイっ・・・ちょっ!?」
「言えよ・・・辛いって。」
「サイファー・・?」
「雇用関係の間だけの火遊びは辛いって。愛のない関係は嫌だってよ。」
「―――っ!」
「本気の本当の・・・恋人がいいって。」
「・・・俺っ・・は・・・」

顎を取られて上向かせられると、唇が触れ合いそうなほどの至近距離にアンタの顔があった。でも実際に触れてきたのは唇じゃなくって・・・アンタの舌。いつの間にか溢れ出て止まらない涙を、アンタが犬みたいにペロペロと嘗めてくる。

(本当に――俺で・・・いいのか?)

「余計なコト、考えンな。」

(アンタ・・・いいのか?)

「言えよ。」

(・・・俺―――)

「俺・・・アンタの――」

たった・・・・一言なのに、物凄いエネルギーが要った。
『恋人になりたい』
振り絞るように出したセリフは掠れていて、最後まで言い終える前に、声はサイファーの口の中に消えてゆく。


「・・・ん・・・ぅン・・・」

そのまま深くなってゆく口付け。
抱きしめられた身体が熱を持ち、下腹部からいいようのない疼きが広がり始めたとき・・・・イデアの声が。
呆れた声――がした。

「サイファー、続きは私が出て行ってからにしてちょうだい。」

(お・・俺っ!!)
俺の今の格好ときちゃ・・・風呂上りそのままで。
しかも感情の赴くままに身の内の劣情を曝した直後――つまるトコロ、アラレモナイ全裸に近い状態で・・・おまけに青臭い匂いが充満するとんでもない部屋にいる。

「イ・・イデア・・・あの・・・」
「それに、いくら両想いになったからといっても、スコールの体を考えて程々になさい?」
「まかせろ、ヤリ過ぎで壊したりなんかしねーよ!一生大事にするから心配すんなv」

始めがイデアに、後半部分のセリフは俺にだった。
俺へのセリフはとても嬉しいが・・・・イデアの言葉の意味と、それに対するサイファーの答えが恥ずかしい。自分の今の格好も、部屋も――なにもかもが恥ずかし過ぎて、リアクションできない俺はずっとコイツの胸に顔を埋めているしかできないでいた。

(この・・・バカっ!!)

「スコール・・・。」

優しい声に絆されて、イデアの方へ少しだけ顔を上げた。

「幸せになりなさい。」

ずっと俺を慈しんでくれた女性は、柔らかな微笑みを残して部屋を去っていった。


扉が閉じると同時に、俺を包むサイファーの拘束が一層強まる。そしてイデアの退場と一緒に俺の羞恥心も霧散した。

「愛してる――」

囁かれる言葉に、自分の本心を告げることができる喜び。ただ・・・同じ言葉を返す勇気は、まだ俺にはなくって。だから、俺の返事は中途半端で申し訳ない。
それでもアンタは・・・満面の笑顔でもって、俺を抱きしめてくれる。

「俺も―――」



臆病な俺だから、『愛してる』は、まだ少しだけ―――

待ってくれ。

     ****     ****     ****
メイドガ―デン終了。
長かった…やっと…始めてから一年くらい経ってるんじゃなかろーか??
本当にもう…申し訳ありませんでしたm(_ _)m

サイトの方にはちょっと手直しして載せたいなーっと。
けっこー何にも考えないで書き殴ってきたので^^;
暫くは短編物しか載せられなさそう…。書きかけがいくつかあるけども、さすがにもう見切り発車して連載ストップはマズイなーと。
あ、でも…放置したままの拍手をどうにかしないと??
 

ぜー

 投稿者:尼子  投稿日:2007年 6月12日(火)21時55分23秒
  今日はお休み〜v
と浮かれてたら、朝から喘息がで〜た〜(T_T)
洗濯して洗いもんして外回りちょっと掃除して…昨日風呂入れんかったから朝から入ったれ〜と楽しみにしとったのに…。貼る薬使ったらぜい鳴と息苦しさがなくなったけど、それはあくまで安静にしてたら大丈夫っちゅうだけで、階段の上り下り2〜3回したら又咽喉が鳴ってきた。
しくしく…ちくしょう〜〜。
で、結局パソの前でカキカキと…blut 95 あっぷ
(寝とらんかいっ!と亭主に怒鳴られそう^^;)

でもまぁ…昼過ぎから落ち着いてきたんで良かったー。(動き回ってもぜーぜーしない)
ご飯食べてテレビ見て、それが終わってからお風呂に。それから買物とか用事を済ませるために、やっとこさ外出〜。

一日が短かった…気がする。
 

寝るぞ〜…

 投稿者:尼子  投稿日:2007年 6月 7日(木)00時40分34秒
  メイドの続きを書かずにblut38をアップ。
なんとな〜く書きたくなって…しかももっと他にも色々シチュはありそうだけど、ベタなネタでカキコしてすいません。

サイトいじれるのが嬉しくって…ついついバカな夜更かしをしてしまった。こんなことしてるから体が治らないのじゃ…わはは。

週末はバタバタするんで、たぶん更新はナイです。
また来週〜。
 

MG続き

 投稿者:尼子  投稿日:2007年 6月 3日(日)01時35分20秒
  「一目惚れなんだぜ、これでも。」
「・・・・嘘付け・・・」

愛してるだ、一目惚れだの――今迄なにも言わなかったくせに、今更?

「可愛くないこという口はコレかぁ?」
「いっ・・・いだぃ・・ぞ・・」

いきなり、下唇をぐいっと引っ張られた。
マジメな話してるんじゃなかったのかよ?
大体、俺がサイファーを好きなのは事実だけど・・・アンタのセリフを鵜呑みにするほど俺は目出度い性格じゃあない。

「サイファーがSeeDである貴方に求めていた当初の任務は、もうずっと前に終わっていたことを知っていましたか。」
「・・・・当初って・・?」

引っ張られてヒリヒリする口元を擦りつつ、俺はイデアに視線を戻した。

「始めはね、お屋敷から出ている間の身の回りの世話をさせるメイドが必要だったの。本人はこの通りのガーデン出身者だから、実際のところ、護衛なんて必要じゃないしね・・・それに、サイファーの秘書を覚えているかしら? 彼女ともう一人、大柄な体格をした青年がいたでしょう? 彼ら二人もガーデン卒業者でね・・・・サイファーが必要としていたのは、身元の保証されている、自分で自身の安全を守れる召し使いが欲しかったのね。」

(ちょっと風変わりな、あの女秘書・・・彼女らも・・・)

楽観思想はしないけど。
でも、イデアが言うのなら。

「だから、本当の任務はお屋敷へ戻ってきた時点で終わりだったのです。」

(信じて・・・本当に、コイツを信じても・・・?)

心のどこかで、これほどに身体を求められるのは愛されているのでは――とあり得ない願望が脳裏を掠めることもあった。抱かれている間の熱が冷めれば、浅はかな願いは赤面するぐらい滑稽で。

「なのにサイファーったら・・・・貴方を人目見て気に入ったとかで、契約後、わざわざ私に会いに来たのよ。」

他の誰でもない、彼女が大丈夫だって言うなら・・・・。

「ビックリしましたよ・・・実際。」

子供の頃から見守ってきてくれた、変わらぬ優しい瞳。
彼女の言葉だったら―――

浅ましい望みだと思いながらも、イデアが語る企てのあらましを縋るように聞き入っていた。


「アポイントを取ってから来るだけマシとは言ってもね・・・・。
挨拶の言葉もなく、突然――

『あいつを俺にくれっ!』

普通の人であれば思わず頷いてしまいそうな勢いだったけど、貴方はいまや大事なガーデンの広告塔ですからね。仕事を吟味して選んで――最近では、おいそれと貸し出したりしなかったのに。

『やっぱりあなたは、あの子が気に入ったのね・・・』
『判ってンだったら・・・っ』

私の言葉に勢い付いて、前のめりに要望を言い募ろうとするその前に、きっぱりと断りを入れてあげたわ。

『ダメよ。』
『なんでだ!?』
『ガーデンの芸術品とも言われるメイドなのよ、彼は。』
『・・・・金か?』
『それもあるけど・・・・広告塔の意味もあるわ。彼一人の存在で、学園への入学希望者と依頼の両方がスゴイの。SeeDになって、まだ2年も経ってないっていうのにねぇ・・・だから、悪いけど―――』
『聞けねぇな。』
『・・・サイファー・・・』
『俺は、あいつが欲しい。』

私とサイファーの付き合いは長いわ。
お互いの目を見れば、大概のことは察するくらい――この子の翡翠の瞳は揺らぐことなく私を見返してきていて・・・とても引き下がりそうには思えなかった。
負けまいとじっと睨んでみたのだけど・・・結局、諦めの溜息を吐いて視線を外したのは私の方。
渋々だったけど、承諾をするしかなかった。

『・・・仕方ないわね。』

――――でも・・・・

ただ言いなりになって、渡してしまうだなんて・・・・許せないって思ったわ。
これから――っていう時に、なんて勿体無い!
ですからね・・・・条件付きにさせて貰ったのです。」

「それは・・・どういう?」

「『任務と称して貴方を引き止めている期間内に、意地っ張りな本人の口から愛の告白をもらうこと。そうすれば、スコールをガーデンから開放して貴方にあげる』って。」

(俺の口から――??)

今の俺の状態ってやつは・・・・明日、ガーデンを出て行ってサイファーと一緒に暮らす(で、いいのか?)――という段取りをつけて貰ったんだよな・・・・でも俺、コイツに告白した記憶はないぞ??

「貴方の告白は、聞いていませんよ。」
「・・・・・・・・・じゃあ?」


    * * *    * * *    * * *
何とかサイトに触ることが出来るようになりました。
終了してしまったリンクやらを外したりして、少しだけホッとしました^^;
本格的に直せるようになるのは、まだ先ですが…とりあえず、です。

皆様、拍手をありがとうございます。
6/1の「う」様、いつも拍手有難うございます。ぼちぼちカキコを増やしていきたいと思います。更新頻度は遅いですが、また遊びにきてみて下さいマセ。
 

MG続き

 投稿者:尼子  投稿日:2007年 5月29日(火)00時30分2秒
  (女々しくて、情けないけど・・・誰もいないんだから、泣いたっていいよな)

零れ落ちる涙をそのままに、顔を枕に押し付けるようにしていたのだが。

(・・・えっ?・・・)

締め切っていた部屋の空気が動いた気がして、俺は体を捩って枕から顔を上げた。

(―――っ!?)

「なん・・なんで・・・??」

呆気に取られた――なんて生易しいもんじゃない。
俺の目の前にいるのは・・・・。

「よお。」

平然と俺を見下ろすコイツの立ち姿だが、いきなり煙と共に現れたわけじゃない。ハッと部屋を見回せば、コイツの出現先はたった一つの出入り口の扉から。

「昨日の今日だってのに、もう体が我慢ならねぇか?」

奴がずいっとベッドに乗り上がってきてさえ、動くことができない。顔を挟まれて、啄ばむような口付けを受けて。

「悪ぃかったな・・・。」

目尻の涙の跡を、サイファーの舌先で舐められた。
クセというか条件反射というか・・・イッタばかりの体の筈なのに、たったそれだけの軽い行為で俺の中心に熱が集まってくる。

「な、にを――」

膝を割られて身動きを封じられ、ゆるりと脇腹を撫でられた。密着するカラダから、互いの心臓の音を感じる。

目蓋に頬に、ひくつく咽喉元に唇を受けて――

「泣かせたな・・・。」

これまで聞いたことないくらい優しい声は、本当はうっとりするくらい心地いいものなのに。逆にその声が俺を我に返らせた。

「ア・・・アンタ、どうやってここへ!?」

俺たちSeeDが生活する、ガーデン寮のセキュリティーは万全だ。いくらコイツの腕が立つからって、こんな易々と入り込める場所じゃない。
寮内がこんなに静かであるわけが―――

「それにっ・・・部屋のカギだって――」
「んー・・・開けてもらった。」
「はあぁ!?」

(どうやって!?誰がだ!!?)

「私です。」
「・・・・げっ!?」
「いてっ・・・爪立てンなよ、スコール。」

ガーデン内部へ案内して、そして俺の部屋の鍵を開いて?
そりゃ・・・彼女なら可能だろうけど、だけどっ!
なんで彼女がそんなことするんだ!!?
学園理事とはいえ、部外者のサイファーをガーデンのこんな奥まで入れたらマズイだろ??

「サイファーはね、このガーデン寮に以前住んでいたのよ。」
「寮・・・に?」

俺の脳内葛藤を余所に、イデアは平然と話し掛けてくる。

「ふふふ・・・判らないかしら?」

え、え、え??
ここに・・・ガーデン寮に居たって・・・それって――

「彼はガーデン卒業生よ。しかも歴代執事TOPの成績を収めてね。」

すぐ傍まで近付いてきたイデアは数枚の紙切れをベッドの上に置くと、すっと後ろに下がった。

「いまだ彼の成績を抜く者は現れていないわ。歴代No1メイドは貴方だけど、執事No1はこのサイファーよ。」
「・・・執事・・・No1・・・?」

俺と彼女との間にはサイファーがいる。
イデアの視線に促されて手を伸ばす俺へ、代わりに紙を手に取ったサイファーが畳まれた紙を開いて手渡してくれた。

「これ・・は・・・。」

手の中の紙切れ――これが、何を現すものか頭で判ってはいるが、渡される理由が判らない。窺うようにイデアを見上げると、俺を囲うように抱きしめる男の方から返事をされた。

「寮の退去勧告書類とSeeD契約解除だ。おまえ、明日中にここを出て行かなけりゃいけねーんだぜ。」

ずっと孤児だった俺にはイデアが母で、ガーデンが家だった。
そりゃあ・・・いずれはガーデンを出て行く身の上だろうけど、何がどういう理由で『明日』出て行かなけりゃならない??

「出て・・・どこへ行けって・・・?」
「俺と一緒だ。」
「アンタ・・・との契約は解除された・・・。」
「そうだ、契約は解除した。」
「だったら――」

自信たっぷりのアンタの顔。
俺に、何を、させたいんだ?

「サイファー・・・ハッキリ言わなければダメね。彼は貴方が思っている以上に、こういう状況に疎いようです。」
「・・・・・・だな・・・。」

・・・・・・・失礼だろ。人の顔見て、溜め息なんか吐くな。

「あ〜・・・俺ぁホントは、もっとロ〜〜マンチックにしたかったンだがよ。」
「・・・・・・・??」(なんだよ・・・)
「いいか? 俺は、おまえが好きだ。愛している。」

(・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ウソだろ。)

「・・・スコール?おい、聞いてンのか・・・?」
「・・・聞いてる・・・。」(聞いてる・・・けど)
「ア・イ・シ・テ・ル、っつってンだぜ。」
「・・・・・うん・・・。」
「あー・・・信じてねぇな〜。」
「・・・・あぁ。」
「ひっでえぇ〜〜!!」

アンタの喋ってる言葉の意味は判るけど、愛の告白を受けるような関係じゃあなかっただろ、俺たちは。

(ただの・・・雇用関係だったじゃないか・・・)

仕方ねぇかもなー、とか。
出会いがアレだったし、とか。
俺が疑い深い――とか。
耳元でブツブツ聞こえてくるのは、アンタの独り言。

「あのな―――」

鼻先スレスレに、真剣な顔を近付けてくるサイファー。

    * * * *     * * * *     * * * *
○慰行為直後の登場だからエロ突入…と一瞬考えたけども、イデアも一緒くたに登場させたのでナシに。サイはとも角、スコってば、まさか育ての母の前では彼奴に流されないでしょう…きっと。たぶん。おそらく…。

拍手して下さった方々、ありがとうございます。
カウンターも少しづつですが回っているので、来て下さる奇特な方がいまだ(リンク殆どどこにも繋がってないのに)いらっしゃるんだなぁ…と。
いやもう、本当にありがとうございますデス。
 

MG続き

 投稿者:尼子  投稿日:2007年 5月25日(金)12時14分25秒
  (な・・・んて・・?)

これまでも、任務中にイデアと出会うことは度々あった。
が、ただの一度として・・・任務の途中で戻ってくるように促されたことなどはなかった。労われ、励まされたりすることはあったが、決して目の前の仕事を放棄するよう勧めるだなんて―――初めてである。

(・・あ・・・・)

自分たちの近くから、睨むようにしている男に目がいった。

(俺・・・邪魔?・・なのか・・・)

どういう関係なのかは判らないけれど、イデアとサイファーは旧知の仲で。
それこそサイファーの想い人を知っているぐらい・・・それどころか、恋人がいながら遊びが過ぎる男を諌めにくるほど近しい間柄なのだ。

「・・・スコール?」

俺の返事を急がせる風もなく、いつもの優しい微笑を浮かべている。穏やかなイデアの眼差しを受けながら、俺は先ほどの二人の会話を思い出していた。
『あいつは俺のオンナだ!』

恋人を放っておいて、男メイドと遊ぶサイファーに意見しに来たんだ・・・イデアは。きっと、どうするつもりなのか・・・って迫ったんだろう。でも、恋人と自分とどちらを選ぶか――なんて、考えるまでもない。

(俺は――お払い箱・・・)

「イデア・・・俺、ガーデンへ戻ります。」
「・・・それで・・・いいの? 本当に?」

眉を少し寄せた美しい面が、じっと俺を見つめてくる。

「はい・・・。」

イデアに返事している間も、サイファーは何も言わなかった。ただ、ちょっと・・・・怖いくらいに俺たちを睨みつけてたけど。

(なんだよ・・・)

その場しのぎの玩具を失うからって、そんな怒らなくてもいいじゃないか。
大体、アンタには・・・

(アンタには・・・本当に大事な人がいるんだろ?)

我侭なアンタのことだから、イデアに言われてムカついてるんだろうけど。
ここらが潮時だろ?
あんまり遊んでると・・・・恋人から愛想つかされるぞ。

「じゃあ・・・今すぐ、お暇(いとま)しても構わないわね?」
「・・・・っ!・・・・は・・い・・・。大丈夫です。」

質問の形をとってはいるけれど、彼女の言葉は決定事項で・・・俺には断るすべなどなかった。ずっと、睨みつけるだけのサイファーは、結局、何も言わなかったし。
ただ片手を上げて――それが返事の変わり。

(所詮・・・この程度の関係・・・か)

必須アイテムのお盆以外、この身一つでここへ来たから。言われて直ぐ、この場を辞すことができる。。
何も・・・他になにも、荷物なんてない。

(バイ・・・サイファー・・・)

不機嫌全開の男へ丁寧に、メイドのお辞儀をする。

「それじゃ、サイファー・・・ごきげんよう。」

イデアの後に付き従った俺は、振り返ることなく屋敷を出て行った。

    * * * *     * * * *     * * * *

「・・・休暇か・・・・。」

ガーデンへ戻った俺は学園長から、長めの休暇を貰った。
これまでにない長期に渡る任務だったせいだろうか・・・・告げられた休みは、かなり長い。次の予定は入っていないから、ゆっくりするようにも言われている。

(でもな・・・・)

出来れば。
休みなんていらない。
すぐにでも、次の仕事が欲しかった。

(一人でなんかいたら・・・・)

たった一日しか経っていないのに――俺は、余計なことばかりを思い出す。

(あぁ・・・ダメだ・・・)

さっき・・・ざっとシャワーを浴びて。
鏡の前で濡れた髪をタオルで拭き取りながら、何気なく目に入ってきた俺の体。鏡に映った自分の姿は、以前と同じじゃなかった。体中に散らばる、虫刺されみたいな赤い痕が目についた途端、自分の身内に劣情が湧き上がってきた。
おまけに・・・以前じゃ考えられなかった、あらぬ部分が疼いて―――

「・・・ん・・・・ふぅ・・・・」

鏡から目を反らせて、なんとか見ないようにしてみても。
身の内に灯った獣みたいな感覚は消せなかった。

(自慰することぐらい、俺だってあったけど・・・)

まさか、後ろを使って快感を得る体になってしまうだなんて。

「・・あぁ・・・・あっ・・・・」

ベッドの上で――前を弄るだけじゃなく、後ろの穴にまで指を突っ込んでかき回して喘いでいる俺は・・・なんて浅ましくて醜悪なんだろう。

「ん・・・んんっ・・・ああっ!!」

熱を吐き出した体は、思いのほか疲れてた。
体を拭いて、汚してしまったタオルを片付けなけりゃ・・・と頭では判っちゃいるが、ベッドにぐったりと横たわったまま動けない。

「まったく・・・なんて体にしてくれたんだよ、アンタは・・・・」

辛くて――ぎゅっと目蓋を閉じたけれど、頭に浮かぶのはたった一人だけ。
消したくても消えてくれない、あの男の顔しか浮かばない。

「責任も取れないクセに、こんな―――」

涙が頬を伝う。

    * * * *     * * * *     * * * *

暗くて自虐的で後ろ向きなスコでしたー。
スコールは好きなハズ…なんだけど、書きながら…こんなマイナス思考な奴が実際にいたらゴメンだ!とか思う我侭な私^^;
 

MG続き

 投稿者:尼子  投稿日:2007年 5月20日(日)18時04分46秒
  ある夜、サイファーに急な――仕事絡み以外の面会があった。
いつもなら見せびらかすようにスコールを手元に置きたがる男が、珍しいことに人払いまでして他者を寄せ付けようとしない。

(珍しいな・・・)

面会者は上流階級の美しい女性――部屋に入る後ろ姿を、たまたま見かけた秘書から聞いただけで、スコールには突然の訪問者がどういう人物なのか全く判らなかった。

長時間、美しい女性と二人っきり――

少し落ち着かない気分で雑事をこなしていたが、やがて、密談は深夜に近い時間にまで及んだ。どんな客が来ていようが、本能の趣くままにしたいことをしていた男であったのに。
いま男は、自分を遠ざけて・・・・。

(別に・・・気にするほどのことじゃ・・・)

何でもない――などと己に言い聞かせている段階で、すでに普通じゃないくらいに気になって仕方がないのだ。

(掃除・・・をするだけだ。掃除)

雑巾とバケツを手にしたスコールは忍び込むような足取りで、隣のドアをそっと開いて滑り込んだ。

「・・・・でしょう?」
「まぁだ、疑ってンのか。」
「・・・・・ねぇ・・・かしら?」
「そんなこたぁ、絶っ対ねぇ!」

イデアの声は辛うじて語尾部分が断片的に聞こえるだけで、ほとんどは壁のすぐ向こう側にいるサイファーの声しか内容は判別できなかった。

「・・・・・もぅ・・・・なの?・・なたの・・・・・じゃない?」

切れ切れながらも、説得するかのように切々と訴える声を耳にしていたスコールはその声をどこかで聞いたことがあるな――とぼんやりと思う。
が、直後に響いてきた怒鳴り声に自身の体が不自然に強張った。

「あいつは俺のオンナだ!」

(オンナ・・・女、って言ったか、いま・・・)

急激に冷えてゆく心。

(やっぱりアイツには本物の恋人――執着心剥き出しになるほどの相手がいるんだ・・・・。俺は珍しさに召された、ただの暇潰しの伽の相手、か・・・・)

雑巾を片手に握り締めたまま、スコールはフラフラと部屋を出る。

(バカだな、俺も・・・)


長々と続いたふたりっきりの話が終わったとき、スコールは男に呼ばれた。

車まで見送りに――と玄関前まで出てきたとき、客人の顔を確認したスコールはその場で息を呑んで固まってしまった。

「イデア!?」

嫣然と微笑む姿を前に、唖然と立ち尽くしたのは数瞬だけ。直ぐに己を取り戻したスコールは普段通りの落ち着いた仕草で、さっと優雅な礼を目の前の女性に向けた。

「久し振りですね、スコール。少し・・・痩せたかしら?」

学園理事イデア。

孤児だったスコールは、幼少の頃からずっとガーデンで生活していた。そのため、理事であるイデアは母にも等しい存在である。

彼女と何の――まさか恋愛相談をしていたのか?
二人の接点ってなんだ??

イデアとサイファーの奇妙な取り合わせに戸惑うスコールの後ろでは、イデアのスコールに対する言葉かけや態度に対して、サイファーが剣呑な瞳で睨みつけていた。

「・・・そんなことは・・・・」

歯切れ悪く答える姿を覗き込むようにして、イデアは白い指先を労わるようにスコールの頬に伸ばしてきた。これまでのスコールなら、真っ直ぐにイデアを見返していたはずだったのだが・・・ついっと不自然に視線を反らせてしまう。これまでの任務と少々異なる関係をサイファーと結んでしまったのが、なんとなく後ろ暗く感じられるせいかも知れない。

長い睫毛を2〜3回瞬かせたイデアは、自分が経営するガーデンにおいて数少ないメイド&執事の資格を持つ青年の幾分か面やつれした顔を、幾ばくかの憂慮を込めた瞳で見つめた。元々、麗しい顔立ちと形容されるぐらい美形の青年ではあったが、今は以前にはない色香を・・・しっとりとした艶を全身に纏わせていた。伏せた睫毛が不安げに震える様はフェロモン全開な妖艶さで、男女を問わず虜にするに違いない。

「そうなの?」
「・・・はい。」
「そう・・・(クス・・・)」

目線を合わせないで俯く姿に、スコールがガーデンへ来た当初の幼い頃を彼女は思い出していた。
心に迷いや悩みを抱えている時、この子はいつもこんな風に不安げに視線を泳がせていたわね――と。声には出さず、目元だけを緩めてイデアは笑う。

「ねぇ、スコール・・・あなた――」

俯くかつての幼子の手を取って、イデアはにっこりと微笑んだ。

「そろそろ、ガーデンに戻ってこない?」

   * * * *   * * * *   * * * *

今月中に…終われそうにないかも(汗;)

5/12 拍手して下さった「う」様。
どうも ありがとうございます。こちらこそ萌ネタで楽しませていただきましたv
何とか生きてますが…亀のごとき更新しかできません(しかもココと拍手お礼のみ)
今のサイト諦めて、別パソで新しく作った方がいいのかな??なんて、最近考えてます。でもそれすると、ビルダーじゃなくてニンジャで作成に戻るのかな…それは嫌かも。と、悩み中デス。
いつも拍手してくださる方々、ありがとうございます。
 

メイド・ガーデン続き

 投稿者:尼子  投稿日:2007年 5月 6日(日)23時18分38秒
  ……余りに放置し過ぎたせいで、どんな話だったか忘れかけてました。情けないなぁ…とほほ…。今月中に終われたらいいな…と、とても後ろ向きです。すいません;;


指紋一つなく磨き上げられたガラスに映る、白いエプロンを纏うメイド姿の自分。
もう何十日とこの制服のままだろう・・・?

(早く契約が終わればいいのに・・・)

――でも契約は・・・いつまでだ? なんか、終わりが見えない任務な気がする。学園長に連絡入れても、相変わらずのらりくらりとかわされて・・・・はっきりとした返事は貰えないし。

(これ以上、アイツの傍にいたら――)

離れられなくなりそうで、コワイ。

俺は――女じゃあ・・・・ない、のに・・・。あの腕の中にいると錯覚してしまいそうになるから・・・・だから・・・俺は・・・・・

「どうしよう・・・・」

そんなセリフが口癖になってしまっている最近、漸く自分の気持ちがただ事ではないと自覚した。いや、自覚したというよりも再認識してしまったというべきか?
誰に対して自分が心揺らせているのかだなんて、心の奥ではとっくに知っている。知っているはずなのに、敢えて気付かない振りをしていたのだ。

こんなセリフが口を吐いて出るってこと自体、すでに答えは出ているのだろうに。持て余す自分の心をどうすればいいのか・・・判っていても認められない、それとも男としてのプライドから認めたくないのか。

成金のセクハラ男。エロオヤヂ(若いけど)。タラシ野郎。

俺の外見だけに興味を持って契約し、任務期間中にあわよくば関係したがる下衆野郎ばかりの中、なぜかアイツだけが違っていた――っといってもアイツの場合の出会いはもっと最低で、契約承認も下劣な手段を使ってきたが。

けど――不本意なことだが・・・気持ちはあの男に惹かれていった。

無理やり身体を開かされていたのは、始めのうちだけ。いつしかアイツの掌を心地よいものと身体も心も認識し始めていた。
・・・・もっとも、拒絶と罵りのセリフは今も続いてる。自分の気持ちに気が付いてたって、それに流されてもいいと割り切れるほど自身に達観は出来てないから。

(こんな不確かな関係が、いつまでも続くわけないし・・・)

いつか、アイツだって飽きるさ。
珍しい男メイド。
所詮、金持ちの退屈しのぎなんだ・・・・・俺なんて。

だから―――


「考えごとか?」
「―――っ!」

後ろから抱き込まれ、耳穴に舌を捻じ込みながら囁かれた。

「・・・ぁ・・・やっ・・・ぁン・・・」
「昼真っから、なんちゅーエロぃ声v」

なんでコイツはSeeDの俺の背後を、こうも易々と―――

「そーんな目ぇすっから、もっと鳴かせたくなるンじゃねぇかよ・・・」
「・・・な・・・なに・・・・あぅ・・・はぁ・・・・」

意味不明なコイツの言い訳は、いつも理不尽だ。俺が誘ってるだの、欲しがってるだの・・・・。

後ろから羽交い絞められた俺は窓から引き剥がされ、書斎の机の上へ押し倒された。お辞儀をするように上半身を机に張り付けられた姿勢は、ちょうどサイファーへ向けて尻を突き出す格好だった。裾を捲り上げて進入してくる奴の掌は、確実に俺の浅ましい劣情を呼び起こす。

「・・・ンっ、あっ・・・――ひぅっ!」

ビクリと喉元を仰け反らせると同時に、情けない声が漏れてしまった。

「すっげぇ、エロい顔・・・めちゃめちゃクルぜ〜v」
「・・へん・・・た・・い・・・」

男のいいように翻弄されるのが悔しくて――絶え絶えな苦しい息を無理して憎まれ口を口にした途端、男のにやけた面に剣呑な光が重なった。

「変態上等。」
「―――あ・・ああっ!!」

しまった、と思ったときってのは大抵遅いものだ。

オイルで滑り良くされてはいても、受け入れるにはまだ慣らし足りない俺の後ろから、やっと三本目に達したばかりの指を引き抜いた奴は―――

「あぁ・・・くっ・・・ひいっ!!」

今の俺の状態は・・・世間でいうところの後悔先に立たずのいい結果――状態が『良い』ワケじゃないぞ。

雄を受け入れさせられるには未熟な後ろ穴。このバカはそこへ無理に捻じ込むようにして、くそデカイ自分のブツを突っ込んできやがったんだ。
なのに、俺ときたら・・・・・・

「っ!・・・ンぅ・・・あン・・・あっ・・」
「どうだ・・・あぁ? 変態から与えられる悦楽は・・・最高、だろ〜?」

痛みがあったのは一瞬で、すぐに痺れるような快感が全身を駆け抜ける。奴が俺を貫くリズムに合わせて、自分の腰を押し付けるようにして動かして・・・・抉られる度に得られる恍惚感は狂喜にも似ていて。申し訳程度にしか残っていない俺の理性なんて、いとも容易く吹き飛ばしてしまう。

(・・・・・・・・・最悪だ。)

既に出ている答えなのに、認めたくなくて―――

『どうしよう・・・』

心の葛藤に対する答えは、判り過ぎるほど。
ただ、同性との恋愛に怖気づく心や、男を受け入れたら最後、離れては生きていけなくなるくらい依存しそうな予感と・・・・いつか温もりをなくすことへの恐れが――スコール自身の真実から己が目を背けさせるのでした。
 

生きておりますよ

 投稿者:尼子  投稿日:2007年 5月 2日(水)23時18分1秒
  長らく放置してました。
一応、生きております。前回のカキコからすぐ、ちょっと体の故障個所が悪化いたしまして。ほどほどに日常生活して(仕事もなんとか条件付きで貰えた)投薬とリハビリの日々でした。子供が進学してPTA環境も激変…おまけにそのPTA関係でポカやらかしてしまって暫く凹んでたり。そうこうするうちに、あっという間に5月になってしまっていました。いま暫く子供のことや家のこと、健康状態もあって放置が多いですが、サイスコ愛はまだ萎えてません。
ゆっくり…ゆ〜〜っくりですが活動は継続する予定です。たまに見にきて下さる奇特な方々、どうもありがとうございます。

サイトをさわれないために見苦しいリンクがいくつかあります。
サイトは相変わらずあのままです。
本当にごめんなさい。

今日は一枚だけですが、拍手お礼を取り替えときました。
(いやもう、しょーもない話です:汗) m(_ _)m
 

なにか…

 投稿者:尼子  投稿日:2007年 2月14日(水)14時46分50秒
  もうバレンタインなんだー…今年は目ぼしいチョコがなかったなぁ…え?勿論(自分中心で)家族で一緒に食べるチョコが、ですよ。焼酎や日本酒入りのボンボンが相変わらず多かった。あんなもんいらんのにー…。それでも何とか好みのチョコをゲット。包みを開けたがり食べたがる息子を制し続けて今日(息子が色気付くのはまだまだ先だな、こりゃ…^^;)、晩御飯の後に家族で食べるのじゃ〜♪

    * * *    * * *    * * *

バレンタイン――世の若者が一喜一憂するイベントの一つ。

お祭り好き少女がガーデンを去っていっても、定着してしまった毎年恒例の各イベントはなくならなかった。・・・・とはいっても、ガーデンは平常通り今日も運営されている。

彼女の意志?を継ぐ有志や、同じくお祭り大好きな兵(つわもの)によってその後も継続しているが、遊びの時間はキチンと区別されているし―――何よりスコールにとってありがたいことに、補佐官の許しを得てまで指揮官を巻き込む剛の者はいないらしく、近年、第三者陥れによる恐怖の女装はない。



 B.D. to You


「はい、スコールv」

執務室に戻って自分の椅子に座るやいなや、どっと疲れが押し寄せてきたらしいスコールは、声をかけられるまで初めの姿勢のまま動けずにいた。ギリギリではあったが、就業時間に何とか終わらせられたことにスコールはホッとする。

「ん・・・サンキュー、リノア。」

今夕任務から戻ってくるという恋人から、定時までに仕事を終えてなかったら今夜は容赦しない・・・・と脅迫めいた(実際脅迫なのだが)メールで通達されていた手前、忙しくも疲れた我が身を何とか鞭打って――仲間にも無理を言って仕事をやっと今、終わらせることが出来たところだった。

「・・・はぁー・・・・」

暫くすると、二人を遠巻きに見つめるもの思わしげな視線には、当のスコールは全くといっていいほど気付いていなかった。

『他人がモノをくれるときは警戒しろ(物を貰うな)』
『アニバーサリーと名がつく日は他人に愛想笑いはしない』
『アニバーサリーと名がつく日は他人と約束事はしない』
 ※『他人』とはサイファー曰く、サイファー以外の全ての人のこと。当然サイファーにとってはラグナですら『スコールの他人』らしい。

等など・・・・長年の経験から注意をしてきたスコールではあったが・・・今迄、いや・・・今日彼のもとを訪れた人々の中では、彼女は特段に注意するような状態ではなかったように感じた。
『状態』・・・そう、対象的には要注意人物であったが、状態――前後のシュチエーションを鑑みたとき、彼女の差し出したモノを受取るのにスコールの中では特に警報は鳴らなかった。

(ふー・・・おいしい・・・)

サイファーがライバル視するリノアから振舞われた『暖かい飲物』が、ホットチョコレートだというのに・・・・。


「ホントに疲れてるんだねー・・・大丈夫?」
「・・・えっと・・・なにが?」
「スコールってさ、普段はあまり甘いもの食べないじゃない。なのに今、すっごく美味しそうにソレ飲んでるから・・・体が疲れてんじゃないのかな、って思ったの。」
「・・・・・・・・・・」

最近の仕事事情を振り返ってみて、思い当たることがあり過ぎる身としては・・・自然と無口になって黙り込むしかない。

「仕事、し過ぎじゃない?体壊すよ。もっと、休んでいいんだよ・・・ね?」

項垂れるようにして椅子に沈み込んでいるスコールの頭上から、優しい声が諭すようにかけられた。一区切りごとに染み込むセリフに、思わずスコールの視線がリノアを見上げる。

「・・・・ありがとう、リノア。」

照れくさそうな――見ようによってはその表情は、頬を染めてはにかむものに見えなくも・・・・ない。

いや、見える。

特に・・・・この男には―――

「な〜〜に・・・見詰め合ってんだぁ?」

ピキーーーーーン

暖房の効いた温かな部屋の温度が、冷え冷えとした声で10度ほど下がったと思ったのは―――

「スコール、おかわりいる?」

リノア以外、だけである。

「スコール、てめぇ・・・俺様の言い付け忘れたか?」
「うぅ・・・ま・・守ってるぞ、俺は!」

疲れから、ついつい忘れがちになったりしたが一応・・・・一日、誰にも笑いかけたりなんてしていない。さっきリノアから飲物を手渡されたときだって、なんとか微笑まずに済ませた。

相手に失礼な態度だと思いはするが、今日一日のことだと――大体ガーデンの人間はサイファーとの事情を知っているはずだから、今日に限っては不必要に自分に近づく輩はいない。

「んじゃー、コレはなんだ?」

男の指先で示されたのは、リノアに手渡したマグカップ。飲み干したばかりでまだ暖かいカップの中は、茶色い液が内側にトロリとした独特のラインをつけていた。

「言ったよな・・・『他人がモノをくれるときは警戒しろ』ってよ。しかも、だ・・・今日はバレンタインデーっていう名の『アニバーサリー』・・・・こんな日に、この魔女からチョコ貰ってどーすんだよ、あ?」
「・・・チョコ?・・・あれは・・リノアは俺たちに飲物を入れてくれただけで、別に他意はな―――」

温かな飲物が即チョコと結びつかないのは、さすがスコール。

しかし、それでも男のこめかみに浮かぶ青筋に、己の失言に気付いて慌てて口を閉じる。

だが―――

「・・・・・遅いんだよ、てめぇはいっつも、よ・・・」
「な・・・なにが・・・??」
「おい、おまえら!リノアから貰ったカップの中、こいつに見せてみろ。」

(・・・・・・ま、さか・・・?)

冷やりと背中を伝うのは、悪寒の予感の先触れか。

簡易キッチンにいるキスティスとシュウ、ニーダとゼルが自分たちのカップを斜めにして中身を見せてくれた。

「・・・・コーヒー・・・カフェオレ・・?」

自分が貰ったカップの中身と、他のみんなの中身は違っていた。

(リノア!?)

それでもまさか、と思いつつ――振り返ったスコールへ無情なセリフが。

「スコールぅ〜、ごっめぇ〜〜んv 」

年齢に見合った大人びた容姿に成長した彼女であるが、こうやって笑顔になるときはあの10代の頃と変わらない―――

「・・・・・・・リノア・・・(滝汗)」
「おいしかったでしょ?」
「・・・・・・・・・・・・」
「いくぞ。」

ニコニコと手を振るリノアへ、自然と顔が引き攣っっていく。この顔をサイファーへ向けるとき、笑顔にしていいのか・・・・それとも怒れる恋人のこの後の行動を想像して、せめてもの温情を得るために泣いた方がいいのか?

「ってことで〜、スコール。来月は期待してるからね〜〜v」

ホワイト・デーを催促するリノアの声に、男の青筋が更にます。
結局、どっちつかずのスコールの表情はその後、サイファーに部屋へ連れて行かれるまでの間、引き攣って固まったままなのでありました、とさ。

    * * *    * * *    * * *

……最近エロ書いてないなぁ〜…(遠い目)
 

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